ミツバチ愛が生む、とびきりのハチミツ
山口県の魅力を深堀するタウン誌「トライアングル」で、県内の農家さんを紹介する連載「YESか!農家」。
農家の皆さん、結構キャラが濃くてユニークな人生観をもつ方ばかりです。誌面のみの紹介ではもったいない!
ということで、webでもご紹介。
今回は、2020年6月号掲載の山口市の「ときつ養蜂園」さん。
ミツバチへの愛がつまった、体にやさしいハチミツの秘密に迫ります。
①花のように香る“生ハチミツ”
②良質なハチミツは、元気なミツバチから
③命について向き合う経験がきっかけ
④農薬を使わないことの大切さも訴えて
⑤より多くの人にハチミツを届けたい
花のように香る“生ハチミツ”
ときつ養蜂園の「郷のはちみつ」は8種類。
テイカカズラやモチノキなど、季節の花からミツバチが集めた蜜を瓶詰めにしています。
瓶詰めの時に酵素や栄養素を壊さないよう、一切加工しない〝生ハチミツ”なので、香りと味が繊細!
ミカンのハチミツはほんのり柑橘の風味があり、テイカカズラは爽やかで華やか。
花の特徴が感じられます。
しかも、どれも糖度が高くて濃厚な甘みがあるのに、後味は驚くほどサラリとしてエグみがありません。
その秘密は、自然環境とミツバチの健康を考えた、限りなくオーガニック的な養蜂にありました。
良質なハチミツは、元気なミツバチから
ときつ農園の蜂場は、主に山口市仁保。
蜜源となる植物が豊富で、寒暖差の激しい気候も良質なハチミツが生まれる理由です。
時津さんはミツバチの〝命〟を大切にした養蜂に取り組み、そこに欠かせないのが“水”。
動植物や環境に優しく、酸化と還元のバランスを整える特殊な水(FFCウォーター)を使っています。
巣箱も特注で、巣礎は毎年新しいものに交換しており「私よりいい家に棲んでいます(笑)」と園主の時津佳徳さん。
ミツバチ用の化学系薬剤も一切使わず、オーガニックの黒糖を餌としてあげるなど、ミツバチの健康にも充分に配慮。
自然環境と人々の健康を守るために、農薬・除草剤も使いません。こうして採れるハチミツは、検査の結果、残留農薬ゼロの数値が出ています。
巣箱の様子を見る時津さんは、優しくミツバチに声をかけ、応えるようにミツバチ達も触覚を動かす…大切に育てられているミツバチ達は、とても穏やかです。
命について向き合う経験がきっかけ
こんな風に、ミツバチの命を大切にする養蜂に辿りついたのは、時津さん自身が命について真剣に考えた出来事があったから。
実は、前職である警察官を辞めて養蜂の道を考えていた頃、2012年に悪性リンパ腫を患っていることが発覚。
抗がん剤での治療を行うとともに、ミツバチ由来のプロポリスとFFCウォーターの力も借りて健康を回復したのでした。
その経験から、時津さんは命の大切さや健康について学び、ミツバチや自然環境に負担をかけない養蜂を行うことを選びます。
農薬を使わないことの大切さも訴えて
そこから塾講師などをしながら独学で養蜂を学び、2015年にときつ養蜂園をオープン。
自身の目指す養蜂を追求する中でぶつかった壁は〝農薬〟でした。
日本は農地面積あたりの農薬使用量“世界ワースト1位”というデータがあるように、畑をもつ人にとって農薬の使用は日常。
山口も例外ではなく、蜂場近くの農地でも使われ、それによりミツバチの大量死を経験した時津さんは、農薬を使わない有機農法・自然農法を広めることが必要だと確信。
「農薬を使わない農業を理解してもらうのはかなり難しいですが、後の世代のことを考えると、今変えていかないと」と、養蜂家の立場からJAに訴えかけるなど、積極的に動いています。
より多くの人にハチミツを届けたい
時津さんのハチミツは、2019年2月に東京で開かれたイベントへの出展をきっかけに、オーガニック感度の高い都会のお客さんに求められるように。
その魅力を地元・山口でも伝えられたらと、2019年11月に直売所もオープンしました。
自身の養蜂だけでなく、自然環境や農業の行く末まで見据え、できることを徹底的にやる…
そんな優しさと芯の強さをもつ時津さんの姿勢と、個性的でいて繊細な味わいのハチミツはどこか重なるよう。
これからますます、多くの人のもとへ届くはずです。
ときつ養蜂園
☎ 083-929-1688
☎ 090-8717-3388
所》山口市仁保下郷561-1
営業時間》10:00〜17:00
定休日》不定休
駐車場》あり
https://bees-life.net
☆Instagram、facebookあり