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【岩国】メイドイン山口のチーズを生む牧場/榎本牧場

写真は右から、要さんの長男・耕大さん、妻・富貴子さん、長男の妻・舞さん、次男・拓也さん。

榎本牧場手作りのチーズに、
牧場の物語をこめて

牧場主の榎本要さんを中心に、岩国市錦町で60年にわたり牧場を営む「榎本牧場」。
自家栽培の飼料で牛を育てる循環型の酪農に取り組み、1年前からはチーズ製造もスタートしています。

新鮮な牛乳から
手作りするチーズ

榎本牧場で手作りされるフレッシュチーズ。モッツァレラ、チェリーモッツァレラ、手で裂けるストリング、リコッタチーズの4種類です。


ほんのりと酸味があって、噛むほどにミルクの味が広がり、「チーズはミルクからできているんだな」とわかる素直な味わい。

そんなチーズを作っているのが、岩国市錦町で牧場を営む榎本牧場の皆さんです。

ここでは、2020年の3月からチーズの製造と販売を開始。
週に2~3回、朝搾った新鮮な牛乳を使って、約半日かけてチーズを作っています。
モッツァレラやストリング、リコッタチーズなど、1回に約40個作られるフレッシュチーズは、正真正銘の手作り。どんな風に作られているのか、見せていただきました。

牛乳からチーズが
できるまで

ストリングチーズを作っているところ。約70℃のお湯につけては伸ばすことを繰り返して、繊維を作ります。



牧場には42頭の乳牛がおり、1日に採れる牛乳の量は約1トン!

これまでは牛乳として出荷するだけでしたが、「自分たちが育てた牛のミルクで何か作りたい」という富貴子さんの思いから、チーズ作りに着手。
富貴子さんは蔵王と東京に足を運び、チーズ作りを学びました。

チーズを作る工程は、まず牛乳に乳酸菌を加えて発酵させることから。
その後レンネットという凝固剤を加えると、「カード」という白い塊と「ホエイ」という液体に分かれます。
そのカードを熱湯の中で練るとストリングやモッツァレラになり、ホエイに熱を加えるとリコッタチーズに…という流れです。

工房では、家族ならではのコンビネーションできびきびと、それでいて丁寧に、1つずつ手作りしています。
実は、牛乳の状態はいつも一定ではなく、牛の餌や体調により色味や乳脂肪などのバランスが変わるのだそう。
それを踏まえて、できる限り安定した品質のチーズを作ることを大切にしています。

牛にも自然にも優しい
酪農をめざす

チーズ作りを始めたことで、これまで以上に牛の健康状態に気を配るようになったという、長男の耕大(こうた)さん。
「牛が健康に過ごすことでいい牛乳が搾れ、それがいいチーズに繋がることを改めて強く感じました」と話します。

暑さに弱い牛たちのために夏は扇風機を常に回し、お乳を出している牛は特に体に負担がかかるので、1頭ずつの様子を細やかに見守ります。

地域の休耕田を借りて牧草やトウモロコシを栽培。

また、牛の餌は自家栽培の牧草・稲・トウモロコシを中心に、配合飼料もあげており「人間と同じで、できるだけ住んでいる土地で採れたものを食べる方が、牛の体にとっていいと思うんです」と耕大さん。
さらに牛の排泄物から堆肥をつくり、それを畑に使って牧草を育てる…という循環型の酪農を行い、環境への負担が少ない方法を試行錯誤しています。

家族で作っていく
牧場のこれから

「ちくわ」「せんぬき」「ベルちゃん」…など、牛たちには1頭ずつ名前がついていて、名付け親は舞さんとお子さん。


冬には雪が積もる、標高約400mのこの場所で約60年にわたり牛と過ごしてきた榎本さん一家。

早朝から日暮れまで、餌やりや搾乳、牛舎の掃除に仔牛の世話など、生き物と向き合う仕事にお休みはありません。
そうして積み上げてきた長い歴史の中で、新たに始めたチーズ作りをきっかけに、今後はジェラートやアイス作りなどの構想も膨らんでいるといいます。

時に厳しくもある自然の中で、家族で力をあわせて牛たちの命を見守りながら、できることから挑戦する…そんな榎本さんたちの姿勢を物語るのが、手作りのチーズ。味わうほどに、牧場のこれからに期待が膨らみます。

榎本牧場

☎0827-74-0955
所》岩国市錦町宇佐郷574
http://enmt-milk-farm.com/
☆facebookあり
※牧場でチーズの直売はしていませんが、
FAM’Sキッチンいわくに(岩国市)で販売中。
掲載の内容は取材時のものです。メニューや価格、営業時間、定休日など、最新情報と異なる場合がありますので、事前にご確認をお願いします。


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